2008年2月28日木曜日

IMFとJamaica

ドキュメンタリー映画“Life and Debt”を見てIMFの役割について考えてみた。今や世界中のクラブで大きなシーンを作っているReggaeの発祥国、ジャマイカの貧困問題を取り上げている。IMF(国際通貨基金)は同国に金融援助を行っているが、ジャマイカとしてはその借金の返済に苦しむ。ゆえに深刻な貧困と向き合っているのが現状だ。

IMFは185カ国の加盟国からなり、「国際収支が悪化した国への融資や、為替相場と各国の為替政策の監視(Wikipediaより)」するための組織である。ファンドである。このファンドという発想がジャマイカの貧困を招いたとしか思えない。このそもそもの役割は複数のプレイヤーから集める巨額の資金調達にある。AがBにお金を借りるだけなら仲介者はいらない。ファンドではAが借りるお金はB,C,D,E・・・と複数のプレイヤーから来ている。だからそれぞれがAはどのように、何のためにお金を使うのか知る権利がある。

そこで、例えば出資者Bとしては自分とAの関係だけを見て融資額を判断すればいい。C,D,Eはあまり興味がない。関係がない。しかしお金を貸す額に応じてAの使い道に口を出せる条件がつくとどうなるか。出資者はとたんに自分とは違う考えを持つ他の出資者の意向を曲げるかあるいは排除しようとする。イギリスからジャマイカへの輸入保護を約束するロメ協定がアメリカにより破棄されたのはそのためかもしれない。それにより、ジャマイカは今度はアメリカからの経済効果を期待した。しかし経済理論にのっとりアメリカはジャマイカからの農産物の輸入をやめ南米諸国へとその取引先を移した。

パッと見アメリカが悪者に見える。しかしあくまでも経済原理に則った結果こうなっただけにすぎない。疑問なのは、国際収支の救済を目的としている組織がなぜファンドなのか。出資額の多いプレイヤーが権力をもつ事で場合によっては貧困を促進しかねない。残念ながらジャマイカが今そうなっている。

国が健全に存続するにはある程度のナショナリズムが必要だ。日本の首相が日本だけのためのお金儲けを考えなくなると日本は終わる。その「ある程度」の基準はどこの誰がどうやって決めればいいのかは世界中の誰もわからない。しかし国、組織、団体やチームができれば平等を最重要テーマとおいたとしても自然とその場を仕切るリーダー的存在は現れる。所属プレイヤーが集まる「場所」をどこかに置かなければならない。大事でかつ難しいのが、ジャイアンの存在を作らないルールを設定する事だ。ジャイアンがいれば必ずスネ夫が出てくる。そうなると当然のびた君が標的になる。

全てを完璧に統括できるドラえもんはリアル世界ではありえないのかなー?

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

昨日その疑問(なぜファンドなのか)先生に聞くつもりやってんけど、残念ながら休講でした・・・。今度聞いてみるね。

ファンド、つまり投資信託だよね?一国への融資に対して複数の出資者がいることを問題視しているようだけど、先進国と発展途上国二国間の融資って今ありえるのかな?と思う。例えば、アメリカとジャマイカという二国間の経済協力ってありえるのかな?アメリカはだったらNAFTAにお金回してメキシコのインフラとか政治安定を伸ばすほうが有益だって思うんじゃないかな。(NAFTAにメキシコが入ったのは不法移民流入がアメリカの国政不安定をもたらしたから)

今んとこ一番いいやり方としては、NAFTAを中南米にまで広げてって、EUに対抗できる経済共同体を作ることだとあたしは思う。EU以上に国家間の経済格差が激しいからもちろん加盟条件とか厳しくなって実現には時間かかりそうだけど・・・

あと、この意見を参考に調べたら、そのまんまあたってたよ。すげー!

>出資額の多いプレイヤーが権力を持つことで場合によっては貧困を促進しかねない。

ほんとにその通りだった。IMFの意思決定が国連と違うところは出資額=発言権だっていうことがわかった。
出資額はクオータ(出資額割当率)として計算され、投票権の票数に加算される。
http://www.yo.rim.or.jp/~kuro1221/bsp/21.html
2003年現在1位はアメリカ(約18%)、2位は日本(約6.3%)。日本は180億ドル出してるけど全然アメリカに及ばない。

完全にジャイアンだねー
このしくみにしないとお金集まんないのかな?ってくらい発言権偏ってるけど・・・日本が出す1兆円って意味あるのか疑問に思えてくる。



IMFは融資を行うとき、SAP(Structural Adjustment Programs)っていう政策パッケージをその国が組み込むことを条件とした。お金を貸すだけじゃ、使い道間違えられたら困るから。政府の構造を変えていく方針で、民営化、税制改革、規制緩和とか色々条件付けた結果、たしかに国家収入増を生んだんだけど、それよりもはるかに大きな負債が残った。

発展途上国も、伸びてはいるんだけど、先進国も伸びているから格差はなくならない、っていうのが最大のジレンマだと思う。

SAPは発展途上国の負債のほかにも、アジア経済危機とか色んな失敗を体験して、非難が集中して、今はIMFも構造調整に踏み切っている。どう変わったかっていうことまではまだちょっとわかってないので、勉強しときます・・・

IMFとか世界銀行について分かりやすいサイト↓
http://www.psi-jc.jp/news_policy/program/06.htm

ともや さんのコメント...

「先進国と発展途上国二国間の融資って今ありえるのかな?」

日本が実施してるODAとは違う意味で?ただ単に融資だけして運用方法は借りてる方に任せるケースか。やっぱり額が大きい分、募金は無理があるのかもね。

「NAFTAを中南米にまで広げてって、EUに対抗できる経済共同体を作ること」についてもっと詳しく意見聞かせて!NAFTAが仮にNSAFTAになったとしたら南米諸国にはどんな経済効果がもたらされるの?

「この意見を参考に調べたら、そのまんまあたってたよ。すげー!」

だって軽く調べたんだもん!この意見自体は自分でそう思った事だけど。確か出資額の3位がドイツだったけど1位と2位(オレが言うジャイアンとスネオ)がお互いの利益を考慮しすぎてタッグ組んだ結果そもそも救済すべき国の貧困を促進してるんじゃないかって思ったね。


SAPって投資国と融資を受ける国との利害バランスを調整する制度なんだろうけど構造が株と似てるよね。株主への配当と企業の内部留保(従業員への給料、貯蓄等)どっちによりお金を当てようか、みたいな。でも運営にまで口出しされないようにいろんな対策を立てないと危険。実際株の世界でも企業をM&Aで買収し子会社化して、その子会社に親会社の負債を負わせるケースがある。IMFでのアメリカとジャマイカの関係も似てる気がしない??

匿名 さんのコメント...

そうかーODAは一対一だもんね。
あたし的にODAは無償資金提供だから、融資にいれてなかった。でも有償資金援助もあるから、それは融資だよね。
IMF=多国対一国 ODA=一国対一国
って考えるとODAならジャイアンは生まれないか。
でもなんか日本はどんどんODA供出額減ってってるみたいよ~><自分の国の経済もやばいし、やっぱ見返りないと厳しいのかも。


NASAFTA
グローバリゼーションの考えで、国を超えた政治経済共同体って概念が今言われてて。

世界の覇権って常に不安定なてんびんみたいになってて、20世紀はソ連とアメリカでバランスしてたんだけど、ソ連が崩壊してアメリカの独裁になった。そしたらさ、IMF作っても独裁、国連の安保理もアメリカの独裁、国際機構はなんや意味を成さない。

そこでEUが経済統合したみたいに、国どうしてもっと大きな共同体を作ろうという動きがみられる。将来はNIESとASEANをもっと拡大して東アジア共同体ができるとか言われてる。将来世界は3ヶ国くらいになる、かもね。

だから、いずれアメリカは、加盟国を増やしてどんどん大きくなるEUや東アジア共同体の潜在的なパワーにバランスしようとして、もっとNAFTAを拡大しようとする日が来るんじゃないかっていう予想をしてみた。そしたらまぁ普通に考えて南下するよね。石油もけっこうあるし、ブラジルとかけっこう経済発展してるし。ジャマイカが加盟できる日は、だいぶ後かもしれないけど・・・


NASAFTAのメリットは、やっぱ技術移転じゃないかな。アメリカとメキシコの関係は、今までは支配>被支配だったけど、NAFTAのおかげで結果的にwin-winの関係になった。
アメリカにとってはメキシコの農産物が安く手入り、工業製品も安く作れる。メキシコにとってはインフラにアメリカの会社が参加するようになったから国内に急激な経済発展をもたらしたのが最大のメリット。
メキシコと同じように技術移転ってやつを南米がちゃんと受けられたら、もうちょっと経済も安定していくと思うな。



すいません株の話全然わかりません・・・が、似ているみたいだねー。配当と内部留保の比率ってさ、株主総会が決めるの??そしたら株主がアメリカになるわけか・・・

ともや さんのコメント...

そっか。じゃつまりNASAFTAのwin-winの関係を成立させる背景にはジャマイカの貧困があるわけだ。経済原理上all-winはないもんな。
って考えるとなんでジャマイカではメキシコと同じシナリオが実現しなかったの?農作物を育てる気候の問題なのかな?安い労働力に関してはジャマイカはメキシコに負けてないと思うし・・・

株もメッセで教えます。マジ簡単な話だから!ちなみにこれは有価証券報告書で連結ベースの情報と親会社だけの情報の両方を載せる理由に繋がる話だと思う。配当と内部留保の割合は経営者が決める。それが「企業価値」アップに欠かせない力の見せ所でもあるんだ。株主総会で文句言う株主と給料が低いと文句言う従業員(他にももっと関連する点はあるけど)をどうするか、ってゆーね。