2008年2月26日火曜日

セレンディピティー

レコード屋に足を運ぶ時は常にセレンディピティーを期待する。DJならだれでも期待しているはずだ。セレンディピティーとは「思わぬものを偶然に発見する能力。幸運を招きよせる力」(広辞苑)だ。つまり予め買おうとはしていなかったやばいレコードを発見する事。Diggin'にはそんな楽しみがある。でもセレンディピティーはなにもDJのレコ掘りだけに限った事ではない。

インテリアショップでちょうど自分の部屋に似合うブラインドを見つけたり、旅行先で何年も会ってなかった友達と再会したり・・・そんな事が起こると嬉しくて意識していなくてもまた同じ、あるいは似たような場所がすごくいい所だと思う心理が働く。オレがよく行く雑貨屋Village Vanguardなんかはそこを狙っているはずだ。

もちろん同じ心理はネット上でも働く。このブログの横側に張ってあるGoogleのAdsenseが正にそれ。毎回投稿されるブログ記事をコンピューターが勝手に読んでキーワードを確認し、そのキーワード関連の広告を載せる。Gmailではメール内容が読まれて同じ作業が行われる。つまりコンピューターが「コレ欲しいでしょ?買ったら?」と薦めてくれる。
しかし人が人にモノを勧めるのと同じで、薦める方は薦められる方の事を知らないとダメだ。店で店員が「どのようなモノをお探しですか?」と聞くのはそのため。コンピューターも消費者のいろいろな情報がないと商品を勧められない。

リアル世界では性別、年齢、服装などから多少の情報を読み取り商品をリコメンドする事ができる。ネットの世界では消費者が何か行動をおこさない限り、何の情報もわからない。AmazonやCisco Recordsのサイトでは消費者の買い物履歴によりリコメンドしてくれる。そうしたリコメンドによりセレンディピティーを実現させる。先週オレはAmazonで本を買ったあと、「え?この本もおもしろそうじゃん!」とまんまと2冊追加させられた。まぁ一冊500円ぐらいだったからだけど。ここでAmazonはオレが買った一冊目の本のカテゴリを見て、キーワードを見て、同じ本を買った人の履歴を見て、何冊か紹介してきた。これをSocial recomendationと言い、候補を絞る事でよりオレが買いそうな本を紹介できる。

つまり消費者の情報をできるだけもっているショッピングサイトの方が儲かる。性別、年齢、職業、趣味に限らず
「どこ大学でどの教授の何を専攻していた何ゼミの何期に所属していて卒業研究は何をしたか」
「良くつるむ友達とは週末どこで何を何時間ぐらいいくら払って遊ぶか」
「どこのクラブでどんなオーガナイザーの下で、どんなお客さんがいるイベントでどんな音楽が好きでDJをしているか」
などの情報がわかればわかるほど的確な商品を紹介する可能性が上がるはずだ。Googleが目指す「世界中の情報の整理」はそういう意味だろう。ただこれはプライバシーの問題があり不可能に近い。


でもセカンドライフみたいなネット上の世界では可能かもしれない・・・

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