2008年1月27日日曜日

HIPHOPと日本伝統芸能

能、三味線、和太鼓による舞台を見た後、日本の伝統芸能を支えるイベント企画などをやってる人と話す機会があった。

能楽の役者には「流派」にわかれた家があり、役者は代々その子へと継がれていくものだ。そして一般的には「日本伝統芸能」とした大きなくくりで考えてしまうが、落語、三味線、和太鼓などは互いに競演する事がないらしい。オーケストラに当たるものがない。その日本伝統芸能内での壁を崩す目的で今日はそれらのコラボレーションが実現した。
今日の舞台はかなり斬新な企画だった・・・と話してくれたがそこでオレは疑問に思った。
そもそも普段日本芸能を見る機会がないオレにとって今日のイベントのどこがどう斬新だったのか直感的に分からなかった。考えて頭で理解する程度。和太鼓と三味線が掛け合って曲を演奏する事があまりにもスムーズに融合していただけにそう感じた。

例えば今オレは1DJ、2MC、ブレイクダンサー3人によるパフォーマンスクルーを組んで都内で活動している。発祥国が違うだけでやろうとしてる事は今日の日本芸コラボイベントと何も変わらない。一つ違うのは日本伝統芸能内ほどDJとMCとダンサー間には壁がない。もちろんキャリアや技術的な壁はもちろんあるが、ヒップホップは昔のOld skoolを守る反面新しい事を試す文化でもある。だからクラブでオレらのクルーと一緒にバイオリンが参加したり操り人形を躍らせたり、紙芝居なんかもありだと思う。やってはいけないタブー的なものがない。

日本伝統芸能が世間一般的に流行らないのはそういったタブーまではいかなくとも暗黙の了解で自分の「道(どう)」を守る傾向があるかららしい。日本には何年も歴代の師匠達による積み重ねの努力によりひかれてきたレールがある。小学校のテニススクールでスウィングを「真似てみなさい」と教えるイギリスと「スウィングはしたから上に振り上げるように・・・」と形式的に教える日本の違いがその延長線上にあるのだろうか。

だから今では日本伝統芸能界はそうした壁を取り払って若いお客さんに関心も持ってもらおうと動いているらしい。もっと昔からその動きはあったとは思うが、今盛んなのは娯楽の急増が影響しているのだろうか。
お客さんがいて初めて成り立つのはヒップホップにしても、能にしても同じだと話していた。注目したいのは融合を軸に日々新しい面白さを追求する芸と、伝統を守る芸との兼ね合いをどう捉えれば最高のエンターテイメントを作り出せるかだと思った。


この話をしてくれたイベント企画者の人は、能は確実に時代遅れの文化になっていると話してくれた。今回の舞台で能を披露した大蔵家は時代に合った芸をうまく残してパフォーマンスしているとか。


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